2010年08月22日 08時25分 | カテゴリー: ツーリング2010

8月21日 墓参もはたし「来止臥」キャンプ場へ

この日も雨がふらず、快適なキャンプ。早朝ゆっくり朝飯をくって、荷物をまとめてバイクに積み終える頃にはけっこう10組ぐらいいたキャンパーの大半がも う出発していたな。あいかわらず自分はこういうキチンとした仕事が鈍いんだよなあ。ま、晴れならあまり問題はないが、雨だの悪天候の時はこの撤収の速度は 命にかかわることだってあるんだが、ま、いいか。ようやく積み荷をチェックして帯広方面へ。途中、iPhone が落ちているのを拾って売店の女性にことづける。アホなやつだ、と同情したが、なにこの旅のあとの部で自分はもっとアホだ、ということがわかるのだが、このときは他人事なのでそうおもえたのである。

恩師の墓参り。ナビと地図で自信があったのだが、やっぱりわからなくなってご遺族に電話で聞いてしまった。大体は当たり、だったのだが2年前につれてこら れたきりだったしな。ちょうど墓には2人の女性がなんかちいさいバケツでコンクリートをぬっていた。それが恩師の墓なのでお声をかけると、娘さんとお嫁さ んだった。これはびっくり。札幌から、墓石の基部が壊れているのでセメントもって墓参に来た、という。女性がセメントをメリケン粉のように平気でつかいこ なす、ってなんだか十勝開拓の歴史をホーフツとさせるではないか。

今回の旅の目的のひとつが恩師の本を、ふとしたご縁で去年牧場を訪問した根釧の三友牧場の経営者がNHKのプロフェッショナルにでているのを後に 見て、「この人なら恩師の価値がわかってもらえそうだ」とおもったのがきっかけ。その厚い本をバッグにいれて中標津までいこう、と。なに、宅急便で送れば いいようなもんだが、それじゃああんまりおもしろくないではないか。あはは。225ccのバイクで東京から釧路地方までトコトコ走っていくのが愉快なので ある。 ご家族にわかれをつげ、釧路をぬけて、この日のキャンプ地は海岸のキトウシ、というところ。キャンプ場までダート1km、というのが気に入った。オフ車 じゃないライダーなら相当な腕でないと来られない。大型ロードバイクでキャンプ道具積んで倒れたら大変だからね。

「来止臥」キャンプ場

案の定、名物の霧につつまれた「来止臥」キャンプ場には俺一人。ここはトイレこそキレイな新築だが、管理人もおらず、あとは水銀灯がひとつあるだけ。波の 音だけがひびく。一番近い釧路だって20数キロ有るところ。むろん風呂などないから誰もいないことを幸い、素っ裸になって水道の水をあびて手ぬぐいで片足 挙げて股ぐらを拭いていたら、いきなり無理な姿勢がたたって背中が攣りそうになっちまった。「イテテテ・・・」。えらいこっちゃ、とイキをゆるめもつれた ヒモをほどくように身体を楽な方向にもどして、ゆっくりと呼吸しながら筋肉を弛緩させ、なんとかそれ以上の悪化を防いだけど・・・やー、あのままひどく なったら・・・あは、考えただけでも悲惨だわい。

この後、飯つくる準備していたら、霧がどんどんふかくなって、ふと流し場から顔を上げたら、30メートルさきに青い笹のなかから黄色いどーぶつが こっちをみてるじゃないの。1メートル半ぐらいあるよ。なんか耳がとんがって口元がくろっぽいし、立ってる。これってひょっとして・・・熊?ひえ~、とお もいつつじーっとみてるとあっちもじーっと見返してくる。びくとも動かない。こちらも固まってしまって動けない。そのままにらみ合うことしばし、10分に もおもえたが数分だったかもしれない。突然霧がすーっと晴れたら、そやつ、ただの枯れ木に化けてしまった。けしからん、枯れ木が熊に化けておったのだ。

いやはや。こんな具合だから、夜8時半頃、車のおとがしてどこかのキャンパーが反対側にテントを張りだしたときも、あまり残念ではなかったね。静 かでひとり波の音を、誰も来ないキャンプ場で楽しむ機会はなくなっちまったわけだが、ま、許すゆるす。

執筆者: Jun