2010年08月17日 19時00分 | カテゴリー: ツーリング2010

北海道旅行のはじめはこんなぐあいで

仙台のフェリー埠頭にはすでに数台のバイクが並んでいる。みな大型。前のBMWはピカピカのトランクを3つつけた、タイヤもおろしたて。60歳ちょいのおじさんが宝物のように大事にしているのがよくわかる。わがセローとくらべるとスーパーカーだね。東京からここまで乗ってきたそうだが、まったくの新車だそうだ。いやはや、トランクだけで俺のバイクが買えるぜ。ま、最近、SAなんかでもこういう御仁は結構いてはるし、だいたい超豪華バイクの盆栽展示場みたいで、しかもその半分はBMWだから別におどろかないけど。なんか大流行しているようだ。そういや知り合いにも一人おったな。ありゃ半分見栄でかったんだろう。セローも買って「こっちのほうが楽だ」なんていってる。あはは。

船台から苫小牧フェリーは穏やかな海を順調に北上して、こちらはデッキで海をみながら煙草刷吸ってるだけ。最初は「おお、海だ、自由だ」なんて旅気分でいいんだがすぐ退 屈するから、できたら短い方が良い。それが大洗や新潟でなく、仙台を使ってみた理由、夜でて翌日の昼前に着くのだ。少なくとも半日は北海道を初日に走れ る。これが新潟ー小樽だと夜明けの4時頃ついてしまうから、そのままスタートすると宗谷岬あたりまで、特に大型だったら簡単にいけてしまっておもしろくな い。 北海道は広い、っていってもシベリアや豪州、南米とくらべると小さな島であって、道路が本州みたいに混んでないだけなのね。これを「北の大地」な んておもってスピードバイクで駆け回ると3,4日で旅がおわってしまうのだ。むろん、それが楽しい、という人にはオッケーである。

こちらは本当は自転車で 回りたいがもうその根性がないただのナマケモノ爺だから荷物満載のセローでヨタヨタと、できれば林道なんか走りたいのだ。 ただ北海道はヒグマがいるからなあ。いつぞや海岸近くの林道でコードがチェーンにからまってエンコして止まってしまったことがあるが、そのコード をはずす作業中も草むらがガサリなんて音がするとドキッとしたりギョッとしたりする。今回、いっそ熊避けトーガラシスプレーを装備するか、なんて考えたけ ど、あんなのつけていて転倒したら自分でかぶりかねないと賢明にも思い至って止めておいた。多分正解、なんであろう。

【北海道初日 8月17日】 苫小牧では昼飯を有名なナントカ食堂で食おうと観光客根性を発揮したが、ナビだよりに行ってみるとお盆で休み。早速「ツーリングにおけるマーフィの法則」 が発現しとるな。「うまいメシ屋とマズイ飯やがあればあなたは必ず後者で飯をくうはめになる」と。実際、美笛で食った「キノコカレーとソバ」は980円で 特にソバは不味かった。 2日前、東北道でライトのローが切れてしまったのだが、バイク屋が全部お盆で休みなんでこまった。結局、ハイビームをつけっぱなしにして、ライトの上半分 に段ボールをガムテープではりつけて走っている始末なのだから。ま、北海道初日のこの日は小樽の友人宅へ夕方までにつけばいいのだから、トンネルさえ気を つけたらなんとかなるべー、とそのままネットでみた苫小牧近くの「口なし沼」を目指す。

「ツーリングマップル」とカーナビのお陰で前なら大変な苦労した土 地勘の無い場所での林道探しもいまや楽勝、なんだな。 とおもったら、あまりに道が良すぎてその入り口を1,2キロも通りすぎてしまった。まだ「北海道慣れ」していない。ウロウロさがしていたら、丁度反対側か ら珍しくオフ車に乗った青年がきて気さくに声をかけてきた。ほう、珍しい。バイク乗りってのはあまりとっつきよくないし、北海道では手を挙げて挨拶はして も会話は乏しいのだが、この君は明るい好青年で、へんなヒゲ爺みても驚かないらしいや。 で、一緒に「口なし沼」を探そうということになって、それらしいバイク痕のある林道につっこんでみたが、あっというまにわしゃ転倒しちまったよ。林道、と いってもここいらはなんと砂地なんだね。初めての経験。で、箱を積んでいるとなぜか起こせない。バッグだとなんとか起こせるんだけど、フシギだ。威力絶大 の箱なんだが欠点もあるんだな。しかし相棒君がいなかったら全部荷物おろしてからだから大変だ。実際、旅の終わりにはそんな目に二回遭っている。初日に同 走者がいるのはまことに幸運であったわい。

口なし沼さがし失敗

結局、その林道を最後まで走り通したが「沼」らしきものはない。太い2車線はある無舗装道路にでてしまっ た。これは林道、とはいわないだろう。へんだなあ、苫小牧市の観光課はやる気がないのか、とブツブツいいながら周辺をちょっとあるいて断念。相棒君とわか れて出発、と500メートルもいくと大きな看板に「口なし沼」と書いてあるでないの。なーんてこったい、すぐ側まで来ていたのだった。 よくよく考えてみたらナビがあるのだから倍率をあげて周辺をみてみりゃすぐわかったはずなのである。まあ、初日だからな。相棒君の去った方にバイクでおっ かけてみたが、当然、若い人は早いからその姿はみえなかった。やれ、なんだか申し訳ない。でも地元に近いといっていたから彼にはまた機会があるだろう。

まあ、林道走行というのは目的地は実はどうでもいいようなところがあって、珍しげなトンボがいっぱい飛んでいた口なし沼ではわずか数分の滞在。煙草一本 吸って、こんどは支笏湖から美笛経由で喜茂別ー中山峠ー定山渓、そして小樽へ。昆虫マニアからみたらアホじゃないか、と思われるだろうが、まあそんなもん だ。 支笏湖の南を通る道はあまり湖はみえない。苔の洞門も素通り。20分も歩くとかきくとバイク乗り的に敬遠してしまう。こういうところまで簡単に来られるの がバイクの利点なんだが、利点が良すぎてつい走る方が楽でええわい、てなことになってあとで考えてみると走ってばかりいてなんにもみてなかった、なんてこ とがよくある。 今回、これまた20年前に買って1,2度しか使ってないテレマークスキー靴をはいてきた。これは登山靴的なものだから本気になれば結構山にものぼれるはず なんだがちっとも歩かないな。靴、ではなく人間側に問題があるようだ。 定山渓レークラインを朝里峠まで迎えにきてくれた友人と合流、夜は小樽。

執筆者: Jun