JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.

〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN

2023年12月29日 09時13分 | カテゴリー: 総合

日生(ひなせ)フェリー記念日


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山の仕事が終わると海に行きたくなる。
昨年は淡路島が良かったので、小豆島に行くことにした。

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関東から関西へ行くとき、鈴鹿の山が関西への境目と感ずる
右が御在所岳 左が鎌が岳〈たぶん)10年ほど前に登った

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岡山から最短時間で渡れる日生から大部港へのフェリーは1320出航
しかし息子の電車が事故で遅れ小豆島へは最終の1620便になった。

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慣れぬフェリーに早めに来1045でも乗れると言われたが
次の1320便も見送り最終便まで待つことになった。

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乗船誘導のおじさんは(右端)関東から来て空いた時間を気の毒がって
景色の良い場所や食事処など諸々親切に教えてくれた。
聞けば50年続いた日生フェリーが11月一杯で終わるという。
乗降の減少傾向にコロナが追い打ちだった。

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時間がたっぷり余ったので日生の港町を散策する
日生の街は背後に山が迫る魅力的な街 この山に登りたい
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ヤンマーディーゼル日生出張所 民宿よしだ。。
この港町の日常を彷彿とする
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日生湾の目前の鹿久居島へ日生大橋を渡り向かう

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鹿久居島の最高点とその美しい姿 登路は皆無らしい。

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小豆島大部港行1620最終便の表示

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11月30で退役するという ひなせフェリー
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搭乗時間変更で何度も来て、世話になった日生券売事務所
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日が傾いたころ、世話になったおじさんに誘導され乗船する。
「世話になりました、お元気で」同年輩同士のお別れ。。

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湘南ナンバーのサンバーが 1613 乗船完了した
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出航し桟橋が、また半日近くを過ごした日生の街が遠のいていく
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日生湾を見下ろした、おじさんに教わった展望台 
すでに懐かしいあのとき
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鹿久居島の最高峰が後ろになってゆく
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長島と無人島らしき島影
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東には無人と思わしき採石場らしき岩だらけの島
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西の海の遥かな島の向こうの残照が印象的だった
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暮れてゆく海、遠くに明かり灯りはじめる日生の街
山国生まれの私に、その生活感が切々と迫ってくる
島国の日本。その津々浦々で、こんな海の明け暮れが在るだろう
電車が遅れたことで結果的に、暮れる海の情感に浸れた。
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暗くなる海を まだ見ぬ小豆島へ。。
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フェリーのキャビンに明かりが灯る。。
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大部港から30分ほど 土庄(とのしょう)の宿は、
久々の息子と三人の夜だった
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50年の歴史を あと僅かで閉じる 大部港の日生フェリー乗り場
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この待合所で、喜怒哀楽 悲喜交々があったのだろう。
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乗船所。。
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小供も病人も 就職も就学も嫁入りも総て、フェリーに乗った。

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翌日は島の海岸線をほぼ一周、案外な高い山がある多様な景観
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かなり高い所にあった農場 開拓地のような景観
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瀬戸内海には無人島を含め大小3千の島があるという
波も少なく、漁業や海運の好条件が偲ばれる
その集積地となる大阪湾の隆盛も、さもありなん
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小豆島を離れる坂手港フェリーは神戸まで三時間半かかる
坂手港からの出港は夕暮れまじかの1530分
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大型のフェリーは これでも五千トン
「あおい」孫と同名なのがいい
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バイクの乗客が多い
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乗船すると、その広さに驚く。大型トラックが次々と来る。
船は微動だにしなくて重量で沈み込む様子もない。
それを支えるのは海面であり、表面張力という力学に尽きる。
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15時20分に坂手港を出航したフェリーは瀬戸内海で日没を迎える

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一日を過ごした小豆島が船尾に霞んでいき
その向こうの海に日が沈んでゆく。
その様を乗客がみんな黙って眺めている。
たった一日なのに遠ざかってゆく島影は
愛おしいような感慨を伴う。
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想えば戦地へ向かう船から、船尾に霞んでゆく
本土の見え方はどうだったろうか。
この瀬戸内海からS20年4月7日に沖縄特攻に出撃した大和から、
折りしも満開の本土の桜が見え、
皆が甲板から眺めた記述が、学徒動員の吉田満の手記にある。
大和は激闘のうえ沈没し三千有余名が戦死した。
この海には大戦の記憶が沁みついている

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日が沈んだ灰色の海が 船の速度で後ろへ去ってゆく
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海が暗くなって行き 乗客は客室に戻ってゆく
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四国が遠のいていき右舷にはずっと淡路島が見えている。
淡路島は淡路大橋と瀬戸大橋の世界有数の橋で繋がる
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神戸港まであと30分。淡路大橋を見上げようと乗客が上がってくる
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淡路大橋をくぐる、橋上は夕刻の渋滞。近代建設の威容を見上げる
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西空には残照の残り香・三時間半のフィナーレの淡路大橋を見送る。
フェリーには間もなく神戸港入港のアナウンスが流れる
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バイクの人達から先に上陸する。。かっこいいなあ
SRシングルの女性ライダー キック一発でかかるかどうか(笑)

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その夜は小豆島から一転して大阪。
カーテン越しの始発電車の音 大都市の鼓動
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帰路は京都南部を掠め湖西地方を北上。九頭竜をめざす
あすは今津か長浜か。。琵琶湖周航の唄がうかぶ処
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山には山の 憂いあり
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海には海の 哀しみや
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遺りたる 紅葉は照りて。。 
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小豆島の海から 一転して 暮れゆく山に浸る
開通したばかりの徳山ダム沿いのトンネルを通る
能郷白山の山麓の深さ
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池田町を経て越前大野、荒島岳に見守られ眠る
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雪のきた荒島岳 その山頂の一夜を回想し九頭竜をめざす
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九頭竜に拘るのは荒島岳、能郷白山の帰りの素晴らしさだった
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豪雪地帯ならではの この尾根を歩きたい
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米俵。。この地名の物語る歴史
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湖底のふるさとへのモニュメント その想い
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九頭竜の奥地に秘めた平家岳。。憧れの山 その神秘感
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九頭竜への想いの大切な場所 
ここに立って昔日の五月を偲ぶ
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能郷白山のすばらしい一夜 その帰路..
めくるめく5月の午前 この希望に満ちた陽光と空
尾根を見上げ憧れる 空と接することへの憧れは
山への憧れに通じ 幼いころからの遺伝子のものだ
あの時の希望に満ち溢れた光と空が いま凋落の秋
この四季のある国土が日本人の無常観を生んだのか
心は自然に育まれる

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九頭竜からの帰路はいつも白鳥から郡上八幡を経由する
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ここに惹かれる人の様々な想いを受け止める街並み
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郡上をあとに木曽谷に出て中央高速に乗る
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勇壮な甲斐駒を見ると帰ってきた実感がある。

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山梨の馴染んだ山並みの慣れ親しんだ居心地の良さ
通過してきた山々や谷筋も 誰かの日常の舞台であることだろう。
いつも16時20分の夕暮れ時になると、西の山なみ遥か500kmの
日生から小豆島へフェリーが出航するさまを偲んだ。
そして11月末のフェリー最終日。あの叔父さんの想いや如何に。。
フェリーの出た頃を見計らって切符売り場に電話し、
叔父さんに「おつかれさま」と伝えてくれと頼んだ。
たとえ電話であっても、あの時間の日生と繋がってみたかった。
翌日からは 50年に渡ったフェリーの往来のない海を想った
地元にとってフェリーは時報代わりだったという
あれから山の夕暮れの頃には 海の様子が浮かんでくる
山で海を想う  海で山を想う  
あざみの唄のように 島国であり山国の良さだと想う

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執筆者: kazama

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