2005年10月04日
SONY CCDに不具合

SONYの発表によれば、同社製CCDを採用した製品の一部で、「カメラ撮影時に画像が表示されない、画面が乱れる症状が発生する:twisted:」といった不具合が発生、無償修理で対応する模様。これは単なる製造上の不具合だが…
SONYの発表によれば、同社製CCDを採用した製品の一部で、「カメラ撮影時に画像が表示されない、画面が乱れる症状が発生する:twisted:」といった不具合が発生、無償修理で対応する模様。これは単なる製造上の不具合だが…
SONY製品で無償修理となるのは

だが、他社製品で同社製のCCDを採用した製品群も、同様の障害が発生し

など、対象となる機種は100を超えるとも言われる。

原因は「CCDのチップとリード・フレームをつなぐボンディング・ワイヤの接合が経年劣化で外れる」というもの。CCD撮像素子製造ラインのあるソニー セミコンダクタ九州で、生産性を高めるために製造工程を改良した影響で、ワイヤと電極の接合力が従来より弱くなったところへ、さらに、ワイヤの接合面は素子のガラスとパッケージを接着していた接着剤の影響で腐食、劣化したらしい。「ワイヤと電極の接合部が弱くなっていたため,特に製造バラつきで接合力が十分でなかったワイヤが時間の経過と共に外れてしまった」(ソニー 広報部─日経BP Tech-On)。

ワイヤ接合部が弱くなっていた時期は2002年末から2004年初頭。製造したCCD撮像素子は、同社製品向けだけで300万個に達する(同上記事)というから、大変な量である。 記事によればSONYは2004年6月頃に同不具を発見。調査の末、2005 年8月末までに原因を突き止めたそうだ。「不具合が発生する確率が内部基準を超える」と判断し、代替撮像素子の生産体制を整えた上で,今回の発表に踏み切ったらしい。だから、一応対処部品に交換してもらえるわけで、当然といえば当然なのだけれど、まぁCCDが新品になるだけ、ユーザーは「儲かった」のかも知れない。

だが、業務用撮影機器が含まれているのは深刻な問題であり、撮り直しできない業務で支障をきたすようなことが発生していたら、補償は困難だ。それに、業務用機種ではそうしたトラブルが製品採用の判断を左右する。また、民生機器でも「子供の運動会の記録が台無しになったのはこのトラブルのせいだ。どぉしてくれる」と、失った思い出の記録を心底悔しく感じるユーザーがいるかも知れない。

もともと、SONY神話は崩壊し、今や同社は信じられないメーカー。SONYのマークが優れた良い品を誇った時代はとっくに過去のものになっている。外国人CEOを迎えてまで立て直しに懸命となっている矢先のこのトラブルは、尋常ではない。また、問題の公表がこの時期までずれたことの背景に、CEO交代劇と絡んだ何かがあるような気がしてしまうのは、私だけだろうか。:?:

SONYの崩れた信頼を再構築するのに、交換対応だけで済めば安いものかも知れない。SONYはヨウ素化合物入り接着剤の使用を取りやめ、ボンディングの接合力を測定できる検査機械を2004年3月ころから導入したので、同じような不具合の再発は防げるとしているらしい。だが、根幹に、ここまで崩れ続けてきたSONY神話を最初に築いた、製造業として企業内で技術者がDNAのように持っていたであろう「誇り」が失われ、或は歪んでいたというようなことはないのだろうか。

コストダウンのために海外生産拠点で作ったものではなく、国内有数のCCD製造拠点で発生したことから、事は極めて重大だと感じるのだ。私は精神論は嫌いだが、人を支えるプライドは、良い結果につながる折々の判断のために、とても大事だ。その技術者のプライドを、ソフトビジネスに傾倒したSONYは疎かにしていなかったか。ソフトビジネスでの著作権という利権の保護にばかり心を奪われ、著作物の市場を拡大し未来へつなげる動きを無視し、自らが動かなければ潰せるとすら思っていなかったか。そして、著作物を作成する人間が必要とするギアの製造ではなく、或はユーザーが必要とするモノではなく、技術者から生まれるタネのうち経営者が気に入ったものだけをリリースしてこなかったか。

先日の経営方針の発表にも失望していただけに、このCCDの不具合公表で、今、心にあったSONY幻想の最後の一辺が、粉々になったような気がしているのだ。 :cry:
by DIGIBEAR