2008年02月18日
突然吹っ飛ぶXP、わけのわからんIME

わけあってWindows2000機がなくなり、XPばかりとなったWindows環境。メインマシンはMac OS X Leopardだから良いようなものの、なぜか突然死する。

HP製ノートパソコンのOSはフルインストール三度目。まるごと吹っ飛んだのが二度、ネットワーク環境だけごっそり壊れたのが一度。まるごと吹っ飛んだ時にはフルインストールするしかなく、ネットワークだけのときにも、修復だの何だのと数時間あれこれやった挙げ句、音を上げてフルインストールした。こうした状態を見ていると、まともなOSだとは思えない。まして評判が悪くダウングレードが大流行のVistaなど、導入する気になろうはずもない。実際、突然死するWindowsは私のところだけに起きているのではないようだ。

世の中の多くの人々がこんなOSで仕事ができているというのが不思議でならず、なんだかなぁ、と思っていた矢先、/.(スラッシュドット)に“ MS IMEの変換効率悪化は開発が中国にシフトしたのが原因?”という記事が出ていた。話の発端は古川享 慶応大学教授(MSKKの元会長で)が、自身のブログで怒りをぶちまけた最近のMS IMEの体たらく。使い込むほどにオバカになるという話で、教授がMSの開発系社員に尋ねると「IME開発の主体が、中国にシフトしてしまっていて我々も手を出せない……個人的にはATOKに切り替えようと思っている」という返事が返ってきたというオチがついている。

MS IMEの起源は九州芸術工科大学(2003年に九州大学と統合)の稲永紘之先生に遡る。大昔のことなので記憶があやふやで、無礼は平にご容赦いただくとして、某雑誌の記事のために取材した折に「日本語を科学しているのです」と教授が仰ったのは、今でも脳裏に焼き付いている。そんな先人の努力が、元会長ですら怒るというような製品になってしまっているのは、実に悲しい。ちなみに、OfficeOnlineには今でも辞書作成協力者として九州芸術工科大学 稲永紘之先生の名前が掲載されている

方やMacのIME(昔はFEP─フロント・エンド・プロセッサと呼んだ)で悪評高い“ことえり”。辛抱たまらずATOKに乗り換えて随分になるが、これまた昔、某パソコン雑誌のための取材でアップルジャパンから「皆様ご満足してお使いです」という返事を貰って、ことえりで満足しているという話を聞いたことがなかったので呆れたことがある。だが、そのことえりですら、古川氏がブログで嘆いておられるほど酷くはない。

中国が巨大市場になって軸足が移ったのか、開発にかかる人件費は中国のほうが安くて良質だというのか、まぁ理由は知る由もないが、日本語が入力できているだけマシと思わねばならないようなことになって行きそうな、イヤな予感がする。携帯のIMEは磨かれても、パソコンOSのIMEは凋落…そんな感じだ。でもねぇ、良くならないなら我慢できても、悪くなるというのは、ねぇ。せめて、いじらなきゃ良さそうなものなのに。

古川氏のブログのコメントの一つが指摘するには、MS IMEの件はIEのセキュリティが絡んでいるそうで、だからFireFoxでは誤変換しないのだろうと言う。だが、古川氏が指摘する誤変換はユーザー辞書の影響ばかりではなさそうにも思える。まるで、冒頭で書いた突然死に絡んで、OS自身が自らの脳を傷つけ、最後には破壊してしまう誤りでもあるかのような、そんな印象である。もっとも、日本語入力を行うことのほとんどない、まっさらに近い我がXP環境では、古川氏ご指摘のような誤変換の酷さは再現できなかったから、Vista環境に限ったことなのだろう。

かなり盛り上がりを見せている話題なので、そのうち何らかの進展があるのだろう。引き続き注視していたい一件である。

by DIGIBEAR