2018年07月04日 01時03分 | カテゴリー: ダイエット

失われた尻を求めて…

 この6月、マレーシアに行って、暑いからプールに入って泳ごうとしたら、クロールができないことに気がついた。20〜30mも行かないうちに、ブクブク沈んでしまう。もともと苦手で、あまりやらなかった泳法だが、一応、自分では4泳法で50mプールを大学時代に泳いで、体育の授業に「可」をとったはずだ…とかおもいだしても、やっぱりブクブク。

 これは、息継ぎが苦手だったから、今でもダメなんだろうと、ネットで「クロールの泳ぎ方」の映像を見て、ビート板をつかってバタ足の練習をしてみた。なるほど、25mやっとこさで、折り返すともうへなへな。明らかにあんよがよわっている。

 でも、いまのクロールだのは、上半身の力で推進するから、別にあんよが弱っていても、水泳になれた年寄りは、ワカメがただよいながら太極拳を水中でおこなうがごとく、ゆるゆるふーはーと前進していくのだね。ふむふむ、やっぱり息継ぎがへたなのかしら。

 とか、いろいろ不思議におもって、帰国してからもジムのプールにちょっと顔を出す。あまり人がおらない夕方、ビート板をつかってやったりしていたが、ジムの風呂に入って、ハッと気がついた。ウィークデーの真昼間だから、風呂にきとるのはほとんどがジイさんばかり。そのジイさんたちに見事に共通しておるのは、「尻の筋肉がない」どころか、「尻がない」という衝撃の事実だ。腰から足までそのまま、レゴ人形を切り干し大根でこさえたらこうなるんだろうという具合に、シワシワでストンと足になっとるのである。

 で、自分の尻は見えない。が、鏡を横から見ると、たしかに半世紀以上ずっとそこにあったはずの、丸みがまったくなくなって、「背中」からそのまま「足」になっておるではないか。うーん、「筋肉が弱ってる」のではなく、「ない」のである。これでは、なるほど、バタ足とかいうてもバタつくこともできないで、ユラユラと上下動するしかないではないの。

 謎は解けた。が、ちっとも嬉しくないなあ。えらいこっちゃ。これまではもっぱら下腹がぽこんとでてるのをなんとかしようと思って、減量に取り組み、4月から3月かけて5kg減量に成功した。それによって体重分、身が軽くなって動けるような気がして嬉しいから、水泳とかやってみようと思ったのであったが、その先の新発見は、「老人の失われた尻」問題であった。

 尻、つまり臀筋がなければ、階段も山道も登れない。後ろに蹴り出す力がないから走れない。踏ん張りも効かない。身体の他の部分に比べて、なんとなく滑稽で猥雑である種の差別を受けてきた「尻」だが、いまや、老いと手を携えて逆襲にでてきとるな。これは、下腹の隠れたネコ1匹分の脂肪を、なんとか、尻側に移動させ筋肉化するる方法を考えねばならん。ことし下半期の課題にしよう。

執筆者: Jun