オクラホマ〜アーカンソー 七日目

大休止を終えて平均速度の上がった走りで、桜井はオクラホマの街を駆け抜けた。ペースカーがサポート物資の補給のために停車している間も、コースに一人とどまり、レースを続ける。

戦っている相手が目の前を走るケースは、始めの数日以後ほとんどない。選手にとってRAAMのコースは、その大半の距離が自分自身との闘いだ。

トップとの差が12時間に開く。トップのフィニッシュ後48時間の限度までにゴールするために必要な平均時速はもう大まかに算出できる。そこで、彼自身が決意した目標に応じた彼のノルマが発生する。

今回のレースは、31日の時点でトップを行く、昨年いきなり初参加で三位となったウルフガングが、全体のペースをひときわ早いものにした印象がある。桜井は、なんとこの時点ですでに時間規制のボーダーラインにいる。そして、全19人の男子ソロエントラントで、この制限時間に残っているのは4人に過ぎない。ウルフガングに引っ張られたかのようなベテラン、チューとキシュの二選手のペースも速い。

おそらく、先頭集団ではお互いに牽制しあいながら、自分の休憩のリズムを相手の動きに合わせて微妙に変化させているのが、各区間の平均速度データから読み取れる。ライダーの闘争本能が、そんな厳しいトップ争いを維持させている。

桜井は、三度のRAAM経験だけでは学びきれなかった微細な見落としの積み重なりと、変更されたコースによる高い標高の連続などがたたって、ペースダウン。表情に疲れと焦りが混じる。

後は、トップのペースダウンを祈るだけ。もしあきらめた後にトップに何か番狂わせがあれば、自動的に48時間リミットのボーダーラインが大きく変わることになる。

桜井チームとしては、様々な可能性を計算しつつ、臨機応変に、ベストを尽くしてサヴァナへ向かうまでだ。

右)距離を重ねる毎に姿勢が立ってくる桜井。まるで婦人用自転車に乗っているような姿勢が、体中が痛いといいながらも走りつづけている桜井の辛さを如実にあらわしている。


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Photos, Graphic Design and Copies © Daisuke Tomiyasu